tumo.jpの和訳しすぎない翻訳

洋楽の歌詞を和訳しすぎないように翻訳してみました。

Leave The Door Open を翻訳してみた Bruno Mars (Silk Sonic) 2021

Leave The Door Open について

ハワイ出身のシンガーソングライター Bruno Mars と、カリフォルニア州出身のラッパー & ミュージシャン Anderson .Paak がタッグを組んで結成したデュオ・ユニット Silk Sonic のデビュー・シングル。
卓越したヴォーカルと美しいコーラス、そして切ないメロディーがとても素敵です。

作詞・作曲:Bruno Mars, Anderson .Paak, Dernst Emile II & Christopher Brody Brown
© Mars Force Music, Bmg Onyx Songs, Khlexs Dream, Nine Lives Later

www.youtube.com

翻訳の後に、解説(というか、なぜこう訳したかの説明)も載せているので、よかったら見てみてください。

日本語訳

What you doin'
Where you at
Oh you got plans
Don’t say that (shut yo trap)

君は何をしてる?
君はどこにいる?
何かプランがあるんだね
それは言っちゃダメさ(ほら黙って) (*1)

I’m sippin' wine (sip sip)
In a robe (drip drip)
I look too good
To be alone

僕はワインをすすっている(sip sip
ローブ姿で(drip drip) (*2)
あまりに格好良すぎて
一人じゃいられないよ

My house clean
My pool warm
Just shaved (smooth like a new born)

部屋を掃除した
プールは温かいよ
ちょうどヒゲも剃ったんだ(生まれたてみたいにつやつやさ)

We should be dancing, romancing
In the east wing and the west wing
Of this mansion, what’s happenin'

僕らはdancingしてromancingしなきゃ
イーストウイングで、ウエストウイングで
このマンションのさ、何が起こるかな?

I ain't playin no games
Every word that I say
Is coming straight from the heart
(so if you tryna lay in these arms)

僕は駆け引きなんかしてないよ
僕が言う言葉は全て
このハートからまっすぐに生まれているんだ
(だからもし君がこの腕に抱かれたいなら)

Imma leave the door open
Imma leave the door open girl (hopin')
That you feel the way I feel
And you want me like I want you tonight baby
(tell me that you’re coming through)

僕はドアを開けておくよ (*3)
僕はドアを開けておくよ(こんなことを望みながら)
君が僕と同じように感じてくれて
僕が君を求めているように 今夜君が僕を求めてくれるって
(そうするわって言ってくれ) (*4)

 

You’re so sweet
So tight
I won’t bite
Unless you like

君はとてもsweetだ
とてもtightさ (*5)
僕は噛んだりしないよ
君が求めない限りね

If you smoke (what you smoke)
I got that haze (purple haze)
And if you’re hungry girl I got filets

もし煙草を吸うなら(何を吸うかい?)
haze(モク)があるよ(purple hazeさ) (*6)
もしお腹がへっているなら、フィレがあるよ

Ooh baby don’t keep me (waiting)
There’s so much love we could be making (Shamone)
I’m talking kissing, cuddling
Rose petals in the bathtub
Girl lets jump in, It’s bubblin'

baby 僕を待たせないで
僕らが育むべきloveがたくさんあるだろう(カモン) (*7)
話をして、キスして、抱きしめるよ
バスタブには薔薇の花びらさ
Girl さあ飛び込もう、ほらbubblingしてるよ

I ain't playin' no games
Every word that I say
Is coming straight from the heart
So if you tryna lay in these arms

僕は駆け引きなんかしてないよ
僕が言う言葉は全て
このハートからまっすぐに生まれているんだ
だからもし君がこの腕に抱かれたいなら

Imma leave the door open
Imma leave the door open girl (hopin')
That you feel the way I feel
And you want me like I want you tonight baby
(tell me that you’re coming through)

僕はドアを開けておくよ
僕はドアを開けておくよ(こんなことを望みながら)
君が僕と同じように感じてくれて
僕が君を求めているように 今夜君が僕を求めてくれるって
(そうしてあげるわって言ってくれ)

 

(I need you baby)
(I gotta see you baby)
(Girl I’m tryna give you this)

(僕は君が必要だ)
(僕は君に出会ったんだ)
(僕は君にこれをあげたいんだ)

Imma leave my door open, baby
imma leave my door open girl (hopin')
And I’m hopin' that you feel the way I feel
And you want me like I want you tonight baby
(tell me that you’re coming through)

僕はドアを開けておくよ
僕はドアを開けておくよ(こんなことを望みながら)
僕は望んでいるのさ
君が僕と同じように感じてくれて
僕が君を求めているように 今夜君が僕を求めてくれるって
(そうしてあげるわって言ってくれ)

Tell me
Girl, I’m here just waiting for you
Come on over, I’ll adore you
(I gotta know)
I’m waiting, waiting, waiting for you

ねえ言ってくれよ
Girl, 僕はここでただ君を待っているんだ
おいでよ、僕は君に焦がれるだろうさ
(わかってるんだ)
僕は君とずっとずっと待っているんだ

Girl, I’m here just waiting for you
Come on over, I’ll adore you

Girl, 僕はここでただ君を待っているんだ
おいでよ、僕は君に焦がれるだろうさ

 

解説(なぜこのように訳したか)

*1: Don't say that (shut yo trap)

それは言っちゃダメさ(ほら黙って)

"shut yo trap"はSlang(俗語)で"shut your mouse":口を閉じろ の意味です。

*2:
I’m sippin' wine (sip sip)
In a robe (drip drip)
僕はワインをすすっている(sip sip
ローブ姿で(drip drip)

課題はここの"sip sip"と"drip drip"をどう訳すかです。

正直"drip drip"の方は「ローブ姿で(ポタポタ)」くらいでいいかなと思いました。お風呂あがりにバスローブを着て、滴がポタポタと垂れているイメージですね。

問題は"sip sip"の方です。「ワインをすすって(ジュルジュル)」だとヘンですよね。チュパチュパってわけにもいかないし...。

結局、英語の"sip sip"に相当する日本語の擬音はないということで、そのまま「sip sip」にしてしまいました。

*3: Imma leave the door open

僕はドアを開けておくよ

"Imma"はSlang(俗語)で"I'm going to"という意味です。

*4: (tell me that you’re coming through)

(そうするわって言ってくれ)

ここは少し意訳しています。 もし"tell me that you're coming"だけだったら、「今から行くわと言ってくれ」だと思います。

ただ、ここは"coming through"なので、「~を成し遂げる」的な意味が付与されていると考えます。

この部分の前に、この詩の男は女性に対して「ああしてほしい、こうしてほしい」といろいろなことを望んでいます。
そして、「ドアを開けておくから僕の部屋に来てくれよ」的なことも言っています。

つまりここでの"come through"は、「僕の望みを叶えてほしい」的な要望と「この部屋に来てほしい」的なお願いに対して「君が"coming through"すると言ってくれ」という風に使われているのです。

そういうわけで、どっちの意味にもとれるような「そうするわって言ってくれ」と訳しました。

*5:
You're so sweet
So tight
君はとてもsweetだ
とてもtightさ

さてここなんですけど、どう訳します?
(逆に聞いてみる笑)

まあ"sweet"はいいとして、問題は"tight"ですよね。
言葉の意味としては「きつい」とか「しまっている(タイトスカート的なやつ)」とかそんな感じです。(他にもあるけど)

意訳しようと思えば「素敵なスタイルさ」とか「凛としているね」などと訳すことはできそうです。
でも、個人的にはいろいろ考えた挙句「もうsweetはsweetだし、tightはtightだろ」となっちゃいました。笑

こういう一言の形容詞を翻訳するのって、基本的にはかなり無理がありますよね。
そもそもこのブログのテーマは「和訳しすぎない翻訳」なので、こういう時は「訳さない(ドン)」という方針にしています。笑

*6: I got that haze (purple haze)

haze(モク)を用意したよ(purple hazeさ)

"haze"は煙なので、ここは「モクを用意したよ」で特に問題ないと思います。
では"purple haze"って何? という話なのですが、実はこれ、かの有名なジミヘンことJimi Hendrixの曲なのです。

せっかくなので、リンクを貼っておきます。
(きっとどこかで耳にしたことのあるリフだと思います)

www.youtube.com

もし意訳するのであれば「モクを用意したよ(最高のヤツさ)」とかそんな感じになると思います。

*7: There’s so much love we could be making (Shamone)

僕らが育むべきloveがたくさんあるだろう(カモン)

"Shamone"はSlang(俗語)で"Come on"という意味みたいです。
調べてみたら、かの有名な MJ ことMichael Jacksonが最初に言い出したようですね。

Bruno Marsはあちこちで先人へのRespectを表現しているようです。

さいごに

私もドアを開けて、誰かを待ってみたいものですね。
美味しいフィレ肉、ワイン、バラの花びらを敷き詰めたお風呂、そんなゴージャスなお部屋で。笑

しかしBruno Marsの曲はSlang(俗語)が多くて大変でした。。
最後までお読みいただきありがとうございました。

L-O-V-E を翻訳してみた Nat King Cole 1965

L-O-V-E について

アメリカのJazzシンガー Nat King Cole が1965年に発表した曲です。
歌詞はとてもシンプルなのですが、少し技巧的な部分もあって、そこに込められたメッセージが素敵だと思います。

作詞:Milt Gabler
作曲:Bert Kaempfert
© Wb Music Corp., Warner-tamerlane Publishing Corp.

www.youtube.com

翻訳の後に、解説(というか、なぜこう訳したかの言い訳)も載せているので、よかったら見てみてください。

日本語訳

L is for the way you look at me
O is for the only one I see
V is very, very extraordinary
E is even more than anyone that you adore can

"L"は君が僕をLookするということ (*1)
"O"は僕が見ているOnly Oneということ
"V"はVery Very 特別だよね
"E"は君が敬愛する誰よりもEven more than (*2)

 

Love is all that I can give to you
Love is more than just a game for two
Two in love can make it,
take my heart and please don't break it
Love was made for me and you

"Love"は僕が君に与えられるものの全て
"Love"は二人のgameなんかじゃない (*3)
Two in love (愛する二人)ならきっとやれるさ
僕のハートをつかんで、お願いだから壊さないで
"Love"は君と僕のために作られた言葉だったのさ

 

解説(というか言い訳)

*1: L is for the way you look at me

"L"は君が僕をLookするということ

さっそくで大変恐縮なのですが、1行目から誤訳があります。
結論から言うと、この日本語訳は"the way"の意味が落ちちゃっています。

「the way you look at me」は「君が僕を見る方法 -> 僕を見る君のまなざし」とか、普通そんな感じになります。たぶん。
しかし、私は「まなざし」という訳を採用しませんでした。

私はこの詩の1行目で一番大事なのは「L is for ... Look at me」の部分だと思っています。
この詩にとって、1行目の「L is for ...」と2行目の「O is for ...」はとても大事。これらが存在することで、詩全体のテーマが解説調に仕上がっているのです。
"L"とはこういうことで、"O"とはこういうことで、"Love"ってこういう言葉だよね...という感じ。

そうやってご機嫌に歌っているうちに、徐々にテンションが上がってきて
Two in love can make it
take my heart and please don't break it

と言って、ここだけ解説調を忘れます。テーマを逸脱して、自分のメッセージをガーンと伝えています。

愛する二人ならきっとやれるさ!
僕の手をつかんで、 さあ離さないで!

みたいな感じかな。笑

そして最後に少し冷静になり、もう一回解説調に戻って

Love was made for me and you
Love っていうのは君と僕のために作られた言葉だったんだよ

チャンチャンみたいな感じで終わる。
個人的に、この詩はそんな"テーマ"と"逸脱"が大事なのだと受け取っています。

大変長くなりましたが、そういったわけで1行目の歌詞は"the way"の部分の意味を意図的に落としました。
理由のまとめは以下の通りです。

  • 「L is for... Look at me」の意味を重視したかった
  • ここでの"the way"の意味はそんなに重要ではない(たぶん)
  • 日本語訳の方に"the way"的な意味を持つ言葉を差しはさむ余地がなかった

もっとも、もっといい訳文があるかもしれないとは思っていますが...。笑
この素敵な曲の雰囲気を、少しでも伝えることができていれば幸いです。

*2: E is even more than anyone that you adore can

"E"は君が敬愛する誰よりもEven more than

実は、ここも意図的な誤訳です。
「誰よりも」と「Even more than」で、「~より」という比較級的な意味が重複しています。 結論だけ簡単に言うと、ここは日本語の語感を重視して訳しました。

*1の解説でもお伝えした通り、この詩は「L is for...」「O is for...」の解説調が大事です。
つまり、ここの日本語訳には「"E"は ... Even more than」をそのまま使いたい。 しかし、訳としては「"E"は君が敬愛する誰よりも」で完結してしまっている。

そこで悩んだ挙句、エイっと「Even more than」を後ろにくっつけちゃいました。
別にそのせいで意味がわからなくなることはないと思うし、何より詩というものは「意味の正確さ」ではなく「言葉の広がり」が大切なものだから。

詩というものは、理解してほしいんじゃなくて想像してほしいのです。論文とか新聞記事ではないですからね。

そんなわけで、ここは「~より」という比較級的な意味が重複したとしても、強引に「Even more than」をくっつけた訳を採用しました。
まあ繰り返しになりますが、もっといい日本語訳があるかも、とも思っていますが...。笑

ちなみに、そもそもの原文である「anyone that you adore can」の部分も、正確には「anyone that you can adore」です。
ここで助動詞"can"と動詞"adore"が倒置している理由は、たぶん語感を重視しただけだと思います。

曲に合わせて歌ってみると、やっぱり「anyone that you can adore」よりも「anyone that you adore can」の方が響きがいいですよね。
以上、詩というものは意味の正確さよりも言葉の広がりの方が大事だよね、という主張でした。

*3: Love is more than just a game for two

"Love"は二人のgameなんかじゃない

ここは正直、詩の勢いを意識してかなり意訳しました。
普通に翻訳すると「Loveは二人の恋の駆け引きなんかよりもっと大きなもの」などとなると思います。

※参考
英語には「 "love game" 恋の駆け引き」的な意味があり、「 "I don't like playing a love game" 私は恋愛の駆け引きは好きじゃないの 」というような言い回しがあります。

ではなぜこのような訳を採用したのか、理由は以下の通りです。

  • gameに対する「恋の駆け引き」という訳は、この文脈では合わないと判断した
  • この一節は"love is more than (love) game"という文意が重要であると判断した
  • 日本語としてのすわりのよさを意識して「~よりもっと大きなもの」という訳文ではなく「~なんかじゃない(もっと大きなものだ)」という表現を採用した

まあ、ここの訳はかなり翻訳者の意思が強めに出てしまっているという自覚はあります。
(でも"Ticket to ride" => 涙の乗車券 よりはマシですよね笑)

さいごに

こんな感じで、今後も洋楽の歌詞を(和訳しすぎないように)翻訳しながら、"言葉"とか"翻訳"とか"人に何かを伝える"みたいなことに向き合っていこうと思います。
よかったらまた読んでください。

最後までお読みいただきありがとうございました。